全てのHSPに幸あれ

30代のHSP男性です。SEをしています。社会で生き抜くためのノウハウや、その他子育て等、色々感じたことを綴っていきます。

HSPは脳のミラーニューロンの数が多いという件について

概要

HSPの文献をみていると、しばしばHSPは脳のミラーニューロンの数が多いという文言を見つけます。

こちらについて、少し調べてまとめてみました。

前提

まず、ミラーニューロンの“数”は、そもそも人間では測定できません。

そもそもミラーニューロンは1990年代にイタリア・パルマ大学の研究チーム(ジャコモ・リゾラッティら)により、サルから発見された神経細胞ですが、人間の脳では直接観察できないため、数を数えることは不可能です。

ただ、「数」を数えることはできないですが、fMRIを使用すると「活動の強さ」は見ることができます。

※ちなみに、ミラーニューロンの論文発表は1996年ですが、これはHSPの最初の書籍である「The Highly Sensitive Person」が発表された年と同じです。

fMRIとは

fMRI(functional MRI:機能的MRI)は、「脳がどの部分でどれくらい活動しているか」をリアルタイムで可視化する技術です。 脳の活動が高まると、その部分に酸素を含んだ血液が多く流れます。fMRIはこの変化(BOLD信号)を捉えて、脳の活動パターンを画像として表示します。

普通のMRIが脳の“形”や“構造”を見て腫瘍、出血、萎縮などの診断に用いるのに対し、fMRIは脳の“活動”や“働き”を見ることができ、主に認知・感情・注意などの脳活動の研究で使用されています。

HSPの脳研究で分かっているのは「活動の強さ」

HSPの研究では、fMRIを使って、共感に関わる脳領域(注意・感情処理に関わる領域)がより強く反応するという結果が複数あります。 代表的な研究では、insula(島皮質)や前帯状皮質など、共感に関わる領域が強く活動する ことが示されています。

しかしこれは「ミラーニューロンが多い」ではなく「共感ネットワークが強く反応する」という意味合いです。

代表的な研究

1. The Highly Sensitive Brain(Acevedo et al., 2014)

HSP研究で最も有名なfMRIを使用して研究を行った論文です。 他者の感情刺激に対して、島皮質・前帯状皮質などが強く反応することを示しました。 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/brb3.242

主な結果

HSPは共感に関わる脳領域(insula, ACC)が強く活動し、報酬系・注意系の活動も高い。 また、パートナーの表情に対して特に反応が強いという結果もでた。

2. The Functional Highly Sensitive Brain(Acevedo et al., 2018)

SPS(HSP)の脳研究を体系的にまとめたレビュー論文。 複数のfMRI研究を総合し、SPSの脳回路の特徴を整理しています。

https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rstb.2017.0161

SPSとは

SPS(Sensory Processing Sensitivity)は「感覚処理感受性」と訳され、心理学における正式な研究概念です。 刺激を深く処理する傾向や情緒的・社会的刺激に敏感などの特性のことを指し、研究論文ではほぼ必ず SPS が使われます。 HSP はエレイン・アーロン博士が一般向けに広めた言葉で、「SPSが高い人」をわかりやすく説明するための名称です。

主な結果

HSPは、刺激を受けたときに高次認知ネットワーク(前頭前野など)が強く活動し、刺激を深く・丁寧に処理する傾向が強い。 また、他者の表情や社会的な刺激、感情的な場面に対して、共感に関わる脳領域が強く反応する。 加えて、美しい景色、ポジティブな社会的刺激など、いい刺激に対しても報酬系線条体など)が強く活動する。 さらに、注意ネットワークの活動が高く、周囲の微妙な変化にも注意ネットワーク(特に前頭前野頭頂葉)が強く活動する 。

3. Sensory Processing Sensitivity and Axonal Microarchitecture(David et al., 2022)

こちらは構造MRI(白質構造)ですが、過去のfMRI研究を引用しつつ、SPSの脳構造の違いを調べた研究です。

https://link.springer.com/article/10.1007/s00429-022-02552-3

主な結果

SPSの高い人は、特定の白質構造に特徴がある可能性がある。

過去のfMRI研究を引用し、SPSの脳活動の特徴を再確認した。

科学的に示されているのは次の点

HSP(SPS)が高い人は、以下の脳領域が強く反応する傾向がある

  • 島皮質(insula):共感・内受容感覚
  • 帯状皮質(ACC):注意・情動調整
  • 扁桃体(amygdala):脅威検知
  • 社会的・情緒的刺激に対する反応が強い

一方で、立証されていないこと

終わりに

ミラーニューロンの数が多いということは立証されていませんが、fMRIを用いて特定の脳領域が強く反応するということは立証されているというイメージです。